※ それにしても人間の哀しさかな…
【悪因悪果 あくいんあっか】
悪い行為をすれば必ず悪い報いがあるということ。
悪い原因は必ず悪い結果をもたらすこと。
「悪因」は悪い結果をまねく原因。
「悪果」は悪い報いや結果。
仏教で、人の行いの善悪に応じて、その報いが現れる
「因果応報(いんがおうほう)」の思想に基づく言葉。
【悪逆無道 あくぎゃくむどう】
人の道に背いた残酷でひどい悪事を行うこと。
道徳にそむく残酷な行為。
「悪逆」は道理にそむいた著しく悪い行い。
「無道」は人の道に外れること。
十悪の一つに数えられている父母や主君を
殺すような大罪を犯すこと。
「あくぎゃくぶどう」とも読む。
【悪事千里 あくじせんり】
悪い評判や悪い行いは、すぐに世間に知れ渡ってしまうということ。
「悪事」は悪い行い、「千里」はその悪事が広まる範囲をいう。
「悪事千里を走る(行く)」と用いる。
【悪人正機 あくにんしょうき】
悪人こそ、仏の真の救いが得られるという考え方。
「悪人」とは、自己の罪を自覚する者のこと。
この世には善人と悪人がいるが、
法律や一般的・常識的な視点によるものではなく、
どんな小さな悪も見逃さない仏の眼から見れば、
法律や一般的・常識的な視点によるものではなく、
どんな小さな悪も見逃さない仏の眼から見れば、
すべての人は悪人である。
阿弥陀仏の光明に照らされ真実に目覚させられた時に、
自らがまことの善は一つも出来ない「悪人」であると気付かされる。
阿弥陀仏が救済したい対象は衆生であり、すべての衆生は、
末法濁世を生きる煩悩具足の凡夫たる「悪人」である。
よって「悪人」であると目覚させられた者こそ、
阿弥陀仏の救済の対象であることを知りえるという意。
浄土真宗の教義の中で重要な意味を持つ思想。
【一網打尽 いちもうだじん】
網を一度打つことで、そこにいる魚をすべて
捕らえ尽くしてしまうこと。
(転じて)
敵対する一味の者や悪党や悪人などを、
一挙に残らず捕らえ尽くしてしまうこと。
【一口両舌 いっこうりょうぜつ】
二枚舌を使うこと。
前に言ったことと、後に言ったことの内容が食い違っていること。
一つの口に二枚の舌がある意から、
同じ人の口から違った二つのことばが出てくるという矛盾のたとえ。
また、二人の人に対して違ったことを言い、両者を争わせること。
「一口」は、一つの口、同じ人の口。
「両舌」は、一つの事について違う二つの事を言うこと。
仏教では、十悪の一つに数えられている。
【因果応報 いんがおうほう】
悪事には必ず報いがあるという事。
前世の行いの報いを受ける事。
過去における善悪の行為の結果として現在の幸不幸があり、
現在の行為に応じて、将来はそれ相応の報いを受けるということ。
現在では悪い意味に用いることが多い。
「因果」は原因と結果、
「応報」は善悪の行為に応じてその報いを受けるの意。
仏教の教えからくる。
【海千山千 うみせんやません】
長年にわたりいろいろな苦労と経験を積み、
世間の表裏を知り尽くしていて、悪る賢いこと。
また、老獪(ろうかい)でしたたかな人。
一筋縄ではいかない事。
海に千年、山に千年棲みついた大蛇は、
竜になるという言い伝えから。
【勧善懲悪 かんぜんちょうあく】
善いことをするように勧め、悪い事を戒め懲らしめること。
略して勧懲ともいう。
善が栄え、悪は滅びるという勧善懲悪を説く小説を勧懲小説といい、
滝沢馬琴(たきざわばきん)の「南総里見八犬伝」が名高い。
【鶏鳴狗盗 けいめいくとう】
ニワトリの鳴きまねをして人をだましたり、
犬のようにして物を盗んだりすることしかできない、卑しい者のたとえ。
また、どんなくだらない技術でも、役に立つ事があるというたとえ。
中国の斉(せい)の孟嘗君(もうしょうくん)が犬のまねをするこそどろとニワトリの鳴きまねのうまい食客(しょっかく/いそうろうのこと)の働きで危ういところをのがれることができたという故事から。
【権謀術数 けんぼうじゅっすう】
巧みに人をだます策略の事。
相手をうまくだます計略。
「権謀」は、その場に応じた策略、
「術数」は、はかりごとの意。
【牛頭馬頭 ごずめず】
地獄の鬼、獄卒(ごくそつ)のこと。
牛の頭をした鬼と、馬の頭をした鬼の事。
(転じて)鬼のように人を苦しめる人のたとえ。
【三百代言 さんびゃくだいげん】
詭弁(きべん)を使うこと。またその人。
弁護士をののしっていうことば。
「三百」は銭(ぜに)三百文(もん)のことで、わずかなお金。
(転じて)価値が低い、低級の意。
「代言」は弁護士の事で昔は代言人といった。
明治初期には代言人の資格もないのに、他人の訴訟などを
引き受けていた人がいたため、それをののしった言葉だった。
【自業自得 じごうじとく】
自分の悪い行いがめぐりめぐって我が身にその報いとして
失敗や苦しみを受けること。
自分の行ったことは結局、自分の身にふりかかるということ。
【情状酌量 じょうじょうしゃくりょう】
裁判の判決において、犯罪にいたった同情すべき事情を考慮して、
その刑罰を軽くすること。
「情状」は事情、「酌量」は事情をくみとって手加減する事。
【小人閑居 しょうじんかんきょ】
つまらぬ人間は暇をもてあますと、とかく悪い事をするということ。
「小人」は人徳の無い品性の卑しい人、器量の小さい人の意。
「閑居」は仕事も無く暇でいること。
「小人閑居して不善を為す」とある。
【信賞必罰 しんしょうひつばつ】
賞罰のけじめを厳格につけ、実践する事。
功績や手柄のあった人には必ず賞を与え、
過ちや罪を犯した人は必ず罰すること。
「信賞」は、間違いなく賞を与える事の意。
【寸善尺魔 すんぜんしゃくま】
善いことにはとかく邪魔がはいりやすいという事。
または、善いことより悪い事のほうがはるかに多いということ。
一寸(約3センチ)の善と一尺(約30センチ)の悪という意から。
善い事が少しあると次にはより大きな悪い事が起こるのが
世の常であるということのたとえ。
【寸鉄殺人 すんてつさつじん】
「寸鉄人を殺す(すんてつひとをころす)」とも読み、
きわめて短い刃物で人を殺すという意から。
(転じて)
短くても、鋭く適切な言葉で相手の急所をつくことのたとえ。
警句のひとつ。
【大逆無道 たいぎゃくむどう】
人の道に外れ道理に背いたひどい行為。
また、そうした行為を行うこと。
「大逆」も「無道」も、ともに、人の道に逆らうの意で、
重ねて意味を強めたもの。
【知謀百出 ちぼうひゃくしゅつ】
巧妙なはかりごとや人をだます手口を次々と考え出すこと。
「知謀」は巧妙なはかりごと、「百出」はたくさん出るの意。
【朝三暮四 ちょうさんぼし】
ずるい方法や言葉巧みに人をだましたり、愚弄(ぐろう)したりすること。
また、目の前の差にこだわって、同じ結果であることに気づかない事。
昔、ある人がサルのエサを減らす必要に迫られ、木の実を朝三個、
暮れ四個にしようとすると、サルは怒った。
しかし、逆に朝四個、暮れ三個やるというと、サルは大喜びしたという寓話から。
愚かな者が人の言葉の内容を深く考えない事。
【手練手管 てれんてくだ】
人をだましたり、まるめこんだりする手段・技巧のこと。
「手練」は人を騙す技術、
「手管」は人をあやつる駆け引きの手際や技術の意。
同義語を重ねて意味を強めたもの。
もとは遊女が客をだます技巧をいったが、
現在では普通の人にも用いる。
【天罰覿面 てんばつてきめん】
悪い行いには天の下す刑罰がすぐに現れる事。
悪い行いにはその報いが必ず現れること。
「天罰」は天の下す罰、「覿面」は目の当たりにみるの意。
【天網恢恢 てんもうかいかい】
悪事を働いた者には必ず天罰が下り逃がれる事はできない
ということ。
天の網は目が粗くて大きいようにみえても、悪人を漏らさずに捕え、
取り逃がす事は無いということ。
「天網」は天の網、「恢恢」は広くて大きいさまの意。
「天網恢恢疎(そ)にして漏(も)らさず」の略。
【倒行逆施 とうこうぎゃくし】
道理に背き、人の道に外れた行為をすること。
「倒」も「逆」もともとに背き逆らうの意。
【百鬼夜行 ひゃっきやこう】
悪人などが多く集まって、勝手気ままに悪事を行う事。
無秩序な状態を言う。
いろいろな妖怪変化が、夜になると列を作って闇の中を
歩きまわるがもとの意。
【無理往生 むりおうじょう】
相手を脅迫して無理やり承知させてしまうこと。
また、そのさま。
「無理」は、道理にはずれる、「往生」は、あきらめさせるの意。
「往生」は本来は「圧状」と書き、人を脅迫して書かれた文書の意。
【冷酷無残 れいこくむざん】
人としての温かみや思いやりがまったく無く残酷極まりない事。
「冷酷」は冷たくむごい、
「無残」は「無慙」とも書き、むごく痛ましいの意。
【横行跋扈 おうこうばっこ】
好き勝手にのさばること。横暴なさま。
威張ってわがまま勝手に振る舞うこと。
「横行」は、通ってはならないところを通ることで、
道理に背いた行為をいう。
また、むちゃくちゃなことをして暴れまわる意。
「跋扈」は、大魚が竹かごに入らずおどりはねて逃げることから、
(転じて)強引でわがままに振る舞うこと。
【教唆煽動 きょうさせんどう】
教え唆(そそのか)して他人に行動させること。
「教唆」は、暗示を与えてそそのかすこと。
また、法律上では他人に不法行為の実行を決意させること。
「煽動」は、事を起こすように煽(あお)り、実行させること。
「教唆扇動」とも書き、良い意味で使われることはない。
【挙動不審 きょどうふしん】
動作・様子が疑わしいこと。
社会の一般常識から見て、立ち居振る舞いが非常識であること。
行動が不自然であること。
「挙動」は、人の立ち居振る舞い。動作。
「不審」は、はっきりしない点があって、疑わしく思うこと。
いぶかしく思うこと。また、そのさま。
尋問の理由に使うことが多い。
【極悪非道 ごくあくひどう】
この上なく悪く、よこしまで人の道に外れていること。
また、そのさま。
「極悪」は、悪逆きわまりないこと。
「非道」は正しい道理や筋道にはずれているさま。
人として当然踏まなければならない道にはずれているさま。
また、そのような振る舞いや行い。
【残酷非道 ざんこくひどう】
むごたらしいこと。
人や動物に苦しみを与えて平気なこと。
道理や人情にそむいてむごい様子。
また、そのような振る舞いや行い。
「残酷」は思いやりがなく、むごたらしいこと。
「非道」は、正しい道理や人として
当然踏まなければならない道にはずれているさま。
また、そのような振る舞いや行い。
【舌先三寸 したさきさんずん】
弁説の巧みなさま。
うわべだけのうまい言葉で、心や中身が備わっていないこと。
多くは、口先だけでうまく相手をあしらう意で使う。
「舌先」は言葉、弁舌。
「三寸」は約9センチで、短いことのたとえ。
「舌三寸」ともいう。
【嗜虐嗜好 しぎゃくしこう】
人や動物に対して苦痛を与えることを好むこと。
むごたらしい行為を好む性癖。
「嗜虐」は、残虐なことを好むこと。サディズム。
「嗜好」は、ある物を特に好み、それに親しむこと。
【城狐社鼠 じょうこしゃそ】
自分の身の安全は確保しておいて、悪事をはたらく者。
城の中に住む狐や神社に巣くうネズミのことで、
これらをすべて除こうとすれば、
城や社まで壊さなければならないので、容易には手が出せない。
それをよいことに、勝手にふるまっているという意から、
君主や権力者のかげに隠れて悪事を働くよこしまな家来をいう。
また、それが除きにくいことのたとえ。
奸臣(かんしん/邪悪な心を持った家来)のこと。
【身中之虫 しんちゅうのむし】
内から生じる災いの例え。
味方の中にあって裏切る者、恩をあだで返す者などのこと。
「獅子身中の虫獅子を食らう」の略で、
獅子の体内に寄生して、ついには獅子を死に至らせる虫の意。
もとは仏教語で、仏教徒でありながら仏教に害をもたらす者の
ことをいったことば。
【以毒制毒 いどくせいどく】
毒を消すために他の毒薬を用いることから、
(転じて)
悪を除くのに他の悪を用いることの例え。
悪人を利用して悪人を制圧するといったこと。
一般に「毒を以って毒を制す
(どくをもってどくをせいす)」と訓読をつかう。
【掩耳偸鈴 えんじちゅうれい えんじとうりん】
鈴の音が聞こえないよう、自分の耳をふさいで盗むことから。
罪を隠したつもりでも、まわりの人には知れ渡っていること。
間の抜けた仕事をすることの意。
また、人の道にそむくことをしながら、強いてそれを思わぬようにし、
自分の良心をあざむき悪事をするという意もある。
「耳を覆って鈴を盗む(みみをおおってすずをぬすむ)」と訓読する。
【吹毛之求 すいもうのきゅう すいもうのもとめ】
あら探しをすること。
毛を吹いて隠れた傷を求める。
(転じて)
他人の欠点や後ろ暗いことを探し求めること。
また、人の過ちを暴こうとしてかえって自分の悪事を
暴露するたとえ。
【土豪劣紳 どごうれっしん】
思いのままに人民から搾取する、
残酷な地方豪族・地方地主のこと。
また、横暴な土地のならずもののこと。
「土豪」は、その土地での勢力のある豪族。
「劣紳」は、農民を搾取した地主・資産家の蔑称で、
卑劣不正な紳士の意。
【不逞之輩 ふていのやから】
規則などそっちのけで、勝手気ままに無法な振る舞いをする人の意。
あからさまに不満を表すこと。また、そのさま。
「不逞」は、道義に従わない、勝手に振る舞うこと。
無頼漢、無法者のこと。
【不埒千万 ふらちせんばん】
非常にけしからんと思うこと。
きわめて不届きであること。
「埒」は、馬場の囲いの意。(転じて)物事のくぎり、秩序の意。
「不埒」は、法にはずれていることや道理に背いていること。
「千万」は、名詞の下について、程度の甚だしいさまを示している。
【無理無体 むりむたい】
相手の意向など無視して、
道理に合わない事を無理矢理に押し進めること。
「無理」は、道理の通らないこと。困難を承知で強引にやること。
「無体」は、道理をわきまえず、強引に物事を行うこと。無法。
【乱暴狼藉 らんぼうろうぜき】
荒々しい振る舞いや、粗野な言動をすること。
思いつくままに暴れたり、無法な振る舞いをすること。
「乱暴」は、暴力をふるって暴れまくること。
「狼藉」は、とり散らかって乱れていること。
狼が草をしいて寝たあとの乱雑さからいう。
【燎原之火 りょうげんのひ】
物事が非常な勢いで広がること。
野原に火がつくと勢いよく燃え広がって手がつけられなくなることから、
物事の広がる勢いが強くて防ぎようが無いことのたとえ。
特に悪事やわざわいが広がる場合に用いる。
「燎原」は、野原を焼くという意。
【梁上君子 りょうじょうのくんし】
盗人のたとえ。
泥棒の異称、
また、ねずみのこと。
「梁上」は、天井の梁の上、屋根裏。
「君子」は、立派な人物。ここでは盗人をひにくで称したことば。
後漢の陳寔(ちんしょく)が、梁(はり)の上に
盗賊が隠れていることに気づいたが捕らえようとはせず、
「そもそも人間は、自ら勤勉に勉めねばならないものだ。
悪人というのも、本性から悪人であるのではない。
悪い習慣が身についてしまい、そのようになってしまうのだ。
まさに梁の上の君子がそうだ」と子供たちに訓戒した。
それを聞いた盗賊は、梁からおりて心を改めて謝罪した
という故事から。